【6ヶ月〜3ヶ月前】物件調査と移転先ビルの選定
最適なオフィスビルを選定するには多くの情報収集、確認事項が必要です。以下の項目を念頭にランニングコストはもちろん、立地条件や設備などをしっかり確認してください。
1.物件調査
- 物件情報収集と候補物件の内覧・下見
- 電話番号の変更の有無
- 移転予定地区の商号チェック
2.移転先ビルの選定
- 賃貸条件の交渉と申込、オーナー審査・決定
- 契約内容の確認
オフィスビル選びの確認事項
立地条件
書面だけでなく、実際に最寄りの駅から歩いて周辺を確認することが大切です。取引先までの距離や通勤時間、また、銀行・郵便局や食事などで業務上の支障や社員の不便がないか周囲の環境を確認してください。
使用環境
簡単なレイアウトを考えながら、実際の使い勝手をチェックしてください。 給湯室やトイレなどは実際に使用される社員の方の意見を考慮していただくことも必要です。
実質有効面積
契約面積には、廊下やトイレなどの共用部分の負担を含むグロス契約と専有面積のみのネット契約があります。実際にオフィスとして使用できる有効面積はどれくらいかを確認してください。図面だけでなく、実際に現場で使い勝手をシミュレーションしてみることが大切です。
天井高
オフィスの機能性や、レイアウト、社員の快適な環境を考えるなら、天井高は2.6m以上が理想です。最近の大型ビルでは2.7mから2.8mというゆとりある天井高が設計されています。
セキュリティ
最近では警備会社の機械による24時間対応のセキュリティシステムを採用しているビルが多くみられます。その他の管理体制もしっかりしているかどうかが優れたオフィスビル選びの基本条件です。
ビルの使用時間制限
休日出勤や早朝出勤、残業などを想定して、ビルの出入り可能時間なども確認してください。機械警備対応のビルはセキュリティを解除して、24時間・365日使用できるのが主流です。
OA機器への対応
OAフロア対応のビルなら、電話配線やOA機器の配線がむき出しになることなく、床下にきれいに収納でき、電話やOA機器の置き場所に苦労しなくて済みます。また、電話やOA機器を多数使用する場合は、電気容量や電話回線が不足しないかを確認してください。光ケーブルや特別な専用回線、店舗使用などで特別な設備を使用する場合も同様に確認しましょう。
耐震基準
建物を建築する際は建築基準法、建築基準法施行例、建設省告示などの法律によって定められています。地震に対しても同様にこれらの法律などによって定められ、それらをまとめて「耐震基準」と呼んでいます。
一般的に「新耐震基準」と呼ばれるものは1981年に施行された法律で、そのなかで地震による建物の倒壊を防ぐというだけでなく、「建物を使う人の安全を確保する」という厳しい基準が設けられています。1981年以前に竣工されたビルでも、耐震補強工事を行い新耐震基準に適合する建物もあります。竣工年数では新耐震基準か旧耐震基準かが区別しづらいので、しっかり確認してください。
空調システム
空調には貸室毎でコントロールできる「個別空調」とビル全体、もしくはフロア全体でコントロールできる「集中空調」があり、「個別空調」であれば時間帯にかかわらず自由に小さなスペースで使用でき料金も使用分を毎月の電気料と合わせての請求になります。
「集中空調」の場合、空調料金が共益費に含まれることが多く、ランニングコストは削減可能のビルが多いですが、時間制限による自由度の無さや残業などによる空調延長料を徴収されるのが大半です。空調費用もシステムによって変わってくるため、事前に確認することが必要です。
駐車場
通勤用の車や社用車、また来客用の駐車スペースを確保する必要があります。オフィスビル内にあれば便利ですが、多数必要とする場合は近隣にも駐車スペースを確保できるかどうか、また利用時間や車種の制限、駐車台数などについても確認してください。
共益費
ビル管理に関する費用の他に、冷暖房などの空調費、共用部分の光熱費などが含まれているかどうか、共益費について確認しましょう。また、電気・ガス・水道などの光熱費、町内会費、貸室内の清掃費、時間外空調費、ごみ処理費など、共益費以外の費用負担の有無にも注意が必要です。
保証金・敷金の扱い
保証金・敷金は解約明け渡しの後いつ返還されるのか。また、償却(敷引き)がある場合、その割合などを確認してください。
他の入居テナント
移転候補ビルの他の入居しているテナントもあらかじめ確認しておくと良いです。テナントの質や内容でビルのグレードが評価されることがあります。特に1階に店舗などが入居している場合はチェックしてください。
借室申込書の提出
移転候補物件の絞り込みができると、次は候補物件ビルオーナーに対して「借室申込書」を添付提出します。提出書類としては会社概要などですが、場合によっては会社謄本、決算報告書、経歴書などをお願いされる場合もあります。
一般的に法人の場合は代表者が連帯保証人に、個人の場合は第3者を連帯保証人にあてます。通常オーナーは独自の審査を経て1週間前後で返答します。しかし業種や内容、他テナントの競合などの事情により不承諾となる場合もありますので、移転計画を効率良く進めるためには、あらかじめ予備の候補を選んでおくことも必要です。